波紋2




 広夢くんが変な反応を示すものだから驚いた。それはまるで、涼ちゃんに見つかると何かマズい事でもあるみたいな顔だ…。



「…終わったんだろ?早くシャワーに行け」


 そんな広夢くんを不思議に思いながら見ていたら、頭上から蓮ちゃんの声が降ってきた。どうやら控室が空いた事を伝えにきてくれたようだ。


一舞
「あ、うん…ありがと」
(では…シャワーが空いたらしいので使わせていただきましょうか)

(てか広夢くん。何か言いかけてたけど何だったのかな…?気になるけどまぁいいか…)


 促されるままその場を離れたあたしは、控え室に入るとすぐにシャワー室へ向かった。


***********

〜その頃、廊下では…〜

 やたらと平均身長の高い3年男子4人に囲まれた広夢は、なんとかその場から逃げようと必死だった。



「…………おい」

広夢
「ひっ!…は、はい」


「なんで逃げんの?」

広夢
「や…別に逃げてるわけじゃないっすよ。はは」


「だったら何故、こっそりフェイドアウトしていってるんだ?」

広夢
「え、えーと…」


「まあまあ、そうビビんなって」


「そうそう、ちょっとした質問に答えてくれるだけでいいんだからさー」


 そうは言っても、普段から威圧感たっぷりの先輩達だ。それが4人纏めて現れて、更には自分を囲んでいるのだから、怖がるなと言われても無理がある。


広夢
「…な、んですか」


「うん。広夢ってぇ、もしかして一舞狙いだったりする?」

広夢
「へっ!?」


「図星のようだな」

広夢
「………」
(や…やっべー!どうするよマジ怖ぇーから!!)


「でも今までそんなに興味無かったんじゃねーの?」

広夢
「!」


「それはアレでしょ。他の子より目立つ感じになったから急に興味湧いた的なアレっしょ?」


「タチが悪いな」


「まぁ有りがちだわな。つーか言っとくけど、アイツ彼氏いるからな」

広夢
「え」


「可哀想だけど。広夢じゃ無理だと思うよ。マジ勝算ナシって感じ?」


「旨いこと言うなお前」


「別にそんなつもりで言ってないんだけど。照くんのオッチャン的反応は今は要らないよー」


「話を脱線させるな。…とにかくそういうことだ広夢。残念だったな。ふっ」

広夢
「……先輩」


「なんだ?」

広夢
「…笑顔がコワいっす」


 彼女いない歴更新中の広夢の願望は儚く散り、脳裏に焼き付く黒い笑みが、これからの彼を苦しめていくのだった…。

************


一舞
「ふんふ〜ん♪」
(それにしても久々のライブ。超楽しかったなー…ふふふ)



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