始動7 ――――――――――――――side 涼 部長兼生徒会長を退いて初のイベント…始業式。 新部長はボンヤリして見えるが、なんとか任せられそうで安心した。 ……だけどまさか、学校で翔くんに会うとは思わなかったな。 (あの…翔くんが会場に入ってきた時の一舞の顔…きっと何にも知らなかったんだろうな……) そんなことをグダグダ考えながら今夜のライブのために早めに店に向かう。 今日、改めて翔くんの顔を見たら、また色々気になり出したから余計に思考が止まらない。 (てか翔くんちゃんと大学行ってたんだな……2年ちょい前に急に引きこもって以来行ってないんだとばかり思ってたけど……) 引きこもった理由。翔くんは誰にも言わないけど、たぶん《香織さん》が関係してると思う。 《香織さん》が突然見えなくなって、翔くんが歌わなくなって兄貴が言ってた… 『翔はもう歌えないかもしれない』 それにずっと、理事長の後を継ぐの嫌がってた翔くんが教員免許取るって言い出したのも《香織さん》とのことがあったからだし。その目標が無くなったんだ。大学に行かなくなった理由もなんとなくわかってた。 (それが今じゃ教育実習です…ってどんだけだよ…) (今更…いったい何のために?デビューが決まったんだからそっちで頑張ってりゃいいのに…) 自分の顔が険しくなっていくのを感じながら店の駐車場にたどり着いた。 涼 「………あれ?」 辿り着いた店の入り口前には、広夢と、一舞みたいな赤髪の男子が佇んでいる。 不思議に思いながらも近づくと… 広夢 「…あ、先輩…お疲れっす」 涼 「おぉ……てか…」 広夢 「えっと…こちら、前部長の涼さん」 祐弥 「…どうも」 広夢 「涼さん、コイツ今日編入してきた笹垣 祐弥っす」 涼 「……そうか…笹垣…よろしくな」 祐弥 「…はぁ…」 涼 「んで?入部?」 広夢 「そっすね…一応興味あるみたいなんで見学に…」 涼 「…ふぅん……まぁ…あとは部長に任すけど」 広夢 「てかまだ店開いてなくて」 涼 「…は?…弥生さんに電話入れてないのか?」 広夢 「えっと、実は綾に頼んだんすけど」 涼 「…なんで綾が出てくるんだよそれ…お前の仕事だろ」 祐弥 「………」 (…ったく、何やってんだよ) Novel☆top← 書斎← Home← |