始動4 ――――――――――――side 一舞 始業式は、軽音科の練習棟にある大きなコンサートホールで行われる。 バンド部はこういうイベントになると生徒会としての役割が発生するから、あたしもただ参加ってわけにはいかない。 慎一 「一年生は会場整理ね」 新部長からの指示で、一年生部員は全員ホールの端に並んで配置。会場に入ってくる生徒たちを誘導する係。 ずっと引き摺っている寂しさも、この際考えていられない。とにかく今はあたしのやるべき事を一生懸命にやらなくちゃ。 …………… ……… … 会場の準備が整って生徒たちが入ってくる。 一年から三年まで、各専攻科目クラスの人たちが全員揃うわけだから、その人数はハンパない。 広い広いコンサートホールはあっという間にぎゅうぎゅうになって、最後に先生たちを誘導すれば完了なんだけど… 会場に入ってくる先生の列の中に、一際目立つブロンドの髪…。 ![]() 一舞 「………うそ」 (…なんで翔が居るの?) 翔 「……」 翔は無言で歩いてくる。もう、あたしの姿には気づいてる…。そしてちょうどすれ違う瞬間、翔はあたしの手に触れた。 その感触はすぐに過ぎ去ってしまったけど、あたしの胸はぎゅう〜っと締め付けられて危うく翔に飛び付いていきそうになった。 香澄 「(ダメだよ落ち着いて)」 一舞 「!」 香澄があたしの腕を掴んでくれなかったらマジで危なかったよ…。 一舞 「(…ごめん)」 香澄 「(大丈夫…わかってるから)」 (…ていうか。翔が先生?なんでだろう…まだ大学生のはずなのに……てか翔って何の大学行ってんだっけ?) まだまだ知らないことだらけの自分の彼氏が、いきなり先生として視界の中に居るのはとても不思議で不自然で…しかも先生ってことは、久しぶりに会えたのに馴れ馴れしくは出来ないってことを意味してるよね…。 いったい何の罰ゲームなんでしょうか…? Novel☆top← 書斎← Home← |