原因6





美樹
「そうだ。わたしも香澄みたいに呼び捨てで呼んでもいいかな?」

一舞
「あ、全然大丈夫です。じゃ、あたしも香澄みたいに"美樹ちゃん"って呼んじゃいます!」


 なんて。今更こんな話をしながら、あたしと美樹さんが向かうのは、照ちゃんと香澄の愛の巣だ。



美樹
「香澄や照にも色々と証言してもらいたいから」


 ということらしい。



 それはそれとして…照ちゃん邸は、自分の家の目と鼻の先。

 昨日の話があってからママとは口を利いてないし、パパには、夕飯は外で食べて来るように言ってあるんだけど…なんとなく見つかるのが嫌で、少し早足で階段を上がった。







 照ちゃんたちの城は、彼の実家の門を通って右手に向かうと現れる、外階段から入ることができる。

 完璧なまでの二世帯構造になっていて、すでに香澄は照ちゃんの《妻》のようなものだ。

 外階段を上り玄関扉を開けるとすぐに広々とした空間があり、キッチンに立つ香澄と出会った。その奥に開け放たれた引き戸、そこから見えるリビングは広すぎず狭すぎずって感じの、居心地が良さそうな雰囲気が漂っている。

 あと何部屋かありそうな感じの間取り…きっと、2人の将来を見据えた設計なのだろう。


香澄
「今なんか食べるもの持っていくし、ゆっくりしてて〜」


 そう言った香澄が主婦に見えた。








 ソファーにどっかり座る照ちゃんと、テーブルを挟んで、美樹ちゃんとあたしは並んで座る。テーブルの上には程よく食事の用意がしてあった。



「まぁ、のんびりゆっくり話そうぜ。」


 そう言って飲み物を手渡ししてくれた照ちゃんが…なんか…なんて言うか…


 《親戚のおっちゃん》に見えてしまうのは、あたしだけなのかな?



美樹
「えっと…何から話せばいいのかな…」


 笑いをこらえているあたしに気づかず、美樹ちゃんが話しはじめた。


 そうそう。凄くシリアスな会だったっけ…。





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