序曲4





「俺の気が済むまで…とか、余裕ぶっこいてんじゃねーよ」


「…は?」




















     ドスッ!!





「ぐっ!!」



 俺は荷物を抱えたまま、涼の横っ腹を思いっきり蹴った。

 涼は路肩に倒れ込んで、びっくりした顔をする。



「両手塞がってるから、足でいいよね?」


「お、おま…蹴ってから言うか?」


「つーかさぁ、あんま俺のことナメちゃダメだよ涼ちゃん」


「う……悪い」


「…で?…話戻していい?」


「ちょ…マジ待って」


「重いんだから早くしてよ」


「悪かったって…てかお前らやっぱ双子だよな〜」


「どういう意味だよ」


「いや、別に…続きどうぞ」


「ふん…え〜と、だから、その鍵を作ったのは俺だけど、諦めるって言ったのに持ってちゃダメじゃん」


「ん〜まぁ…そうなるよな」


「だから、涼にあげなよ〜…って言った」


「はっ!?なんで俺?」


「それは美樹に聞きなよ」


「えぇ〜?」


「……」

(ホント鈍いな…涼って)


 あんな仲良いくせに…それとも美樹に対して、そういう興味が無いのかな…



……………



………







 店に衣装を届けて家に戻る道のり。美樹が泣いた理由を考えていた。

 あの電話の態度もそうだけど、涼に何も言わなかったのも気になる。

 いつも一緒に居て、美樹の気持ちが涼に向いてることはわかってたし、それでも俺を嫌がっていないのもわかっていた。


(でも、今の美樹は…わかんねーよ…)



 グダグダと纏まらない頭で考えながら、まるでスピードの上がらない足を進めていたら…




「………あ」

美樹
「!」



 学校からの帰りらしき美樹と会ってしまった。



美樹
「……」


「お…お疲れ」

美樹
「…………」


「………てかさっき…涼にも会ったよ。鍵、渡せて良かった…ね」

美樹
「…………」


「………………」

(わ〜…超不機嫌な顔になった…。涼の話題はマズかったか?)



「………送るね」

美樹
「…………うん」


「!?」

(…うん…って言った)


 送るのはいいのか…?ってことで場面で送り開始。

 並んで歩き始めたわけだけども…



美樹
「……………」


「…………………」

(なんだこの沈黙…)


 この変な沈黙をどうしたらいいんだろか。


(…マジ気まずい)






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