原因4





 パパの話はこうだ。


 我が家の隣にある大豪邸には、男の人が、たった独りで暮らしる…。その広さも一目では把握出来ないような大豪邸に、たった独り。



(それって…あからさまに怪しくないかな…?)



 なんて一瞬思ったけど、きっと凄く寂しいに違いない。そんな風にも感じた。


 その男の人はパパの弟の知り合いで、パパ自身もよく知ってる人らしい。

 で。

 その男の人のご家族から、心配だから時々様子を見てほしいと…あたし達の家を建てる資金を、少し援助してもらったとか。



(知らなかった…)



 その話をした上で次の言葉。


龍二
「一舞ちゃん、お隣で家政婦のバイトしない?」

一舞
「……え?」

龍二
「ん?」

一舞
「は!!?」

龍二
「あははっ、びっくりした?…まぁ、ウチの家事と両立ってことになるし、大変かなぁとは思うんだけど、給料はママから毎月しっかり、お小遣いとは別に出るからさ」




(…給料はママ?)



一舞
「それって…」

龍二
「ん?」

一舞
「ママが絡んでるってことは、断る余地無いんじゃないの?」





 そう。ママはかなり強引にあたしのことを決めるから、なにもかも状況が整った後で話を持ってくる。


(今度はそう来たか…)


 呆れたあたしの顔を気にもせず、パパはサラリとこう言った。


龍二
「そうだね」

一舞
「…………」









(あぁっ…!!…なんだか売られた気分…)






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