原因3





 まだ新築の臭いがする我が家。玄関を入ってすぐの階段を上がると、部屋が3つ。

 奥に向かって並ぶ3つの扉の一番手前が、あたしの部屋への入り口。

 部屋に入ると、まだ解いていない荷物が幾つか目に飛び込んでくるけど、今はそれを整理する気分になれなくて…濡れた髪を乾かすことも後回しで、美樹さんにメールする。


 携帯を握りしめ、画面を見つめること10分。美樹さんからの返信。

 結局「今はちょっと忙しいから…」と、明日の放課後に会ってゆっくり話すことになった。



(すぐに答えが見つかるなんて、そんな都合のいい展開にはならないよね…でもこうなったら、疑問ひとつ残さないようにしよう。せっかく美樹さんがここまで付き合ってくれてるんだから)


 ベッドに寝ころび天井を見つめて、どんなことを質問するべきか考えを巡らせた。








     コンコンッ…







??
「一舞ちゃん、ちょっといいかなぁ」



 ドアの向こうからパパの声…



一舞
「…はぁ〜い?」




 ベッドから飛び起き、ドアを開けると…妙ににこやかなパパが立っていた…。







 いつも笑顔のパパだけど、今見てる微笑みは何だかいつもと違う気がする。


龍二
「部屋…入ってもいい?」


 ニコニコしながらそう言って、あたしの返事を待たずに入室。


(いや…まぁそれはいいけども。いったい何だろう?今まであたしの部屋になんて近付こうともしなかったのに…)


 パパはおもむろに部屋の中央に腰を下ろし…


龍二
「まぁ座って」


 あたしに向かって、床をポンポンっとする。

 自分の部屋なのに、妙にギクシャクしながら座ると…にこやかな笑顔を崩さないまま、パパが本題に入った。


龍二
「実は一舞ちゃんに頼みたいことがあるんだけどね?」

一舞
「……何??」

龍二
「うん。突然なんだけど一舞ちゃんさ…お隣の豪邸に気づいてたかなぁ」

一舞
「…え……うん…まぁ………大豪邸…だよね」

龍二
「そうそう」




 そうなのだ。

 あたしの家がある場所は、いわゆる豪邸が建ち並ぶセレブ住宅街。そして我が家のお隣には、近所のどの家よりも大きな大豪邸がある。

 数ある豪邸の中でも一際目立つ外観にも関わらず、まったく人の気配がしない不思議な家だ。

 ちなみに、その大豪邸の先には涼ちゃんの家があり、真向かいには照ちゃんの家、そして照ちゃんと共に香澄もそこで暮らしている。


 いったい何の話なのか理解できずにいるあたしに向かって、パパは続けた。



龍二
「その豪邸ね、人が住んでるって知ってた?」











(…ん?)










龍二
「ん?」







(え…?)







一舞
「え!?誰か居るの!?」

龍二
「居るんだよね〜、若い奴が。てか実は香澄ちゃんの実家なんだけどね」



(うわ、なにその情報…あたし親友なのに知らなかったし…)






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