進展6 ―――[藍原邸]――――――――――side 一舞 午後3時。 一舞 「あれ? 涼ちゃんどしたの?」 買い出しから戻ると、涼ちゃんが他の女子部員たちと一緒に会場作りをしていた。 涼 「あぁ…はは…差し入れ持って来たら捕まっちまって…」 一舞 「…そうなんだ?」 涼 「うん……」 一舞 「……」 涼 「……」 友達に戻ってからそんなに経っていないから、まだ少し涼ちゃんとあたしの空気はぎこちない。それ以上会話が進まず気まずい空気が漂い始めた時、美樹ちゃんが声をかけてくれた。 美樹 「一舞おかえり」 一舞 「ただいま美樹ちゃん。準備バッチリだねぇ」 美樹 「うん。ふふ、男手があると作業が早いからね。あとはお料理かな?」 一舞 「だね〜…ちょっと大変そうだけど楽しみだね」 美樹 「うん。で?メニューは?」 一舞 「ん〜っとねぇ…」 打ち上げもそうだけど今日は特別に、イベント前に食事会もすることになってるから、たくさんご飯作らなきゃいけない。 美樹ちゃんに献立の説明をしていると、玄関の方から、涼ちゃんを呼ぶ翔の声が聞こえた。 翔 「涼、ちょっと手伝え」 涼 「…あいよ」 一舞 「……」 美樹ちゃんに説明しながら、聞き耳を立ててしまう自分がなんだか恥ずかしい。 とはいえ今日は、変に緊張したけど楽しかった。あの慣れてる感じには驚いたけど…。 一舞 「……」 まだ左手に残っている翔の手の感触は、なんだか恥ずかしいような照れくさいような気分にさせる。 美樹 「…一舞?どうしたの?」 一舞 「えっ?あぁなんでもないよ、あはっ…てかてか香澄にも手伝ってもらわなきゃだね」 美樹 「そうね…ちょっと人手がほしいわね。香澄なら二階に居るから呼んで来ましょうか」 一舞 「あ、いいよ、美樹ちゃんはここに居て。あたしが呼んでくるから」 この恥ずかしさを気とられないように返事をしたつもりだけど、うまくいっただろうか…? なんとなく、自分の顔が赤らんでいる気がして、とにかくみんなから見えないところに行きたくて、慌ててリビングを飛び出した。 Novel☆top← 書斎← Home← |