進展2



―――――――side 翔


シャワー室から出ると、身ぐるみ剥がされて裸になった固いベッドの上で一舞が眠っていた。



「俺をたたき起こしといてお前は…」


 とか言いながら、朝から一舞に会うのはなかなか良いもんだとか思ってる俺がいたり、いなかったり…。




「…」

一舞
「…」


「……」

(こんにゃろ…)



 一舞の側にしゃがみ込み、軽くその頬をつついてみるが…


一舞
「ん〜…んふふっ…」


 幸せな夢でも見てる顔で、スースーと寝息をたて続けている。



「……お前…無防備にも程があるだろ」


 せっかくの忠告も、ただの独り言になってしまう。そんなのどかな休日。



(つーか…暇になると眠くなるとか、まるで子供だな)



「…ふっ」



 とりあえず、あまり見入っているのも俺的によろしくないわけで……。



「……」




 今、目の前にある一舞の寝顔。

 うっすらと桃色がかった白い頬、まっすぐに伸びた長い睫、薄紅色の唇…今日はまだスッピンだ。そんな、生まれたままの一舞の顔が朝日に照らされて…。

 なんて…綺麗なんだろうか…。







        ギッ…







 ベッドの軋む音が、物があまり置かれていない俺の部屋に響く。





(ハッ!)



 気づくと、思いっきり一舞に覆い被さっている透瑠の姿が目の前にあった。



透瑠
「一舞ちゃん可愛い〜」









      ドカッ








 俺はとっさに透瑠を殴り飛ばした。





(ヤバいヤバいヤバい!!危ねー!マジしっかりしろ!俺!)



 そうだ、こういう危険があったことをすっかりわすれていた。


透瑠
「いったぁ〜!なぁにすんだよぉ〜!」



(ったく…どの口がそんなことを言う?)




 まったりとご立腹の透瑠にむかって、焦りでバクバクと脈打つ心臓を抑えながら言葉を絞り出す。




「何すんだってのは俺のセリフだ!お前、一舞に何するつもりなんだよ!」

透瑠
「…だって、もう涼の彼女じゃないし」


「お前のでもないな」

透瑠
「…ふぅん…じゃあ翔の?」


「ちっ……がうけど…」

透瑠
「っじゃ、いいじゃん」


「良くねー!つーかお前の中でフリーの女は全員、手ぇ出していいことになってんのか!」

透瑠
「違うよ。俺の女は俺のモノ、他人の女も俺のモノ、ついでにフリーも俺のモノ。だから一舞も俺のモノ。キラーン!」


「殺っていいか」

透瑠
「やだ、やめて」



(まったく……一舞お前ヤバいぞ。マジで透瑠に狙われてるし…)





 俺たち2人の騒ぎなんて聞こえないのか、一舞はずっと…安らかな寝息をたて続けていた。





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