進展1 土曜日の早朝。 家ではする事が無くなってしまったあたしは、早い時間に目覚めちゃって、暇を持て余しなんとなく、翔の部屋に来ている。 一舞 「翔−!おっはよーう!!」 とにかく暇をどうにかしたくて遊びに来たのに寝ているなんて困る。なのであたしは、部屋に入った勢いのまま翔をたたき起こし、布団を引っ剥がした。 翔 「…頼むから…休みの日くらいゆっくり寝かせてくれよ」 一舞 「なに言ってんの?こんなに天気がいい日はお布団を干すって決まってんのよ」 翔 「…そんな決まり、いつ出来たんだ。つか眠い」 一舞 「じゃあ特別に、一舞ちゃんのチューで目覚めさせてあげようか?ふふふっ」 翔 「…お前は…いつからそんな冗談を言うようになったんだ」 一舞 「さぁねぇ〜、あははは」 (!??) 一舞 「ひゃっ!?」 寝起きの翔をからかって楽しんでいたら、いきなり目の前に翔の顔が近づいた。 翔 「……」 一舞 「っ???」 視界の中いっぱいの翔の顔。これは本当に心臓に悪い。あたしは布団を抱えたまま、蛇に睨まれたカエル状態になってしまった。 翔 「…ふっ、あんまりからかうと本当にしちゃうよ?一舞ちゃん」 翔の艶やかな声が、間近で耳に響く。 そんな声色に反応するように、つい、ぴったりくっついたおでこから顔が熱くなった。 翔 「…ぷっ。ガ〜キ」 一舞 「〜っ!!」 (負けた…!!!) (からかうつもりが返り討ちとか…!!!) 完全に色気負け。 寝起きでボサボサ頭だというのに、ブロンドで目立たないけど無精髭まで生えてんのに。なんで翔はあんなにフェロモン放出しまくっているのでしょうか? (ずるい…) ちょっと落ち込むあたしを後目に、翔はシャワー室に入っていった。 一舞 「はぁ…」 (暇だなぁ…彼氏がいないから携帯も鳴らないし、みんな色々忙しそうだし) 小さい頃から毎日していた家事。習慣になっていたせいか、無駄に早起きしてしまうのが困りものだ。 シャワー室から聞こえる水音を聞きながら、布団が干されて裸になった固いベッドに寝転んだ。 翔にしてみれば、休日の早朝から面倒な話かもしれないけど、いつでも来たい時に来ていいと言ったのは彼なわけだし。 あたしにだって、我が儘を聞いてくれるお兄ちゃんが居てくれてもいいはずだ。 (まあ、ブロンドと赤髪じゃ、どんなDNAなんだとか言われそうだけど) ベッドの骨組みの固さに多少体を捩りながら、くだらないことを考えている。 大きな窓からの暖かな日差しが心地いい。 (はぁ…なんか眠くなってきたな……なるほど、翔の言い分もわかるかも) Novel☆top← 書斎← Home← |