衝動2



―――――――side 美樹


(いったい何が…)


 香澄からの電話。それはとても慌てているような、涙声だった。だけど、内容がまったくと言っていいほどわからない。茫然と携帯電話のディスプレイを見つめて、頭の中で、彼女の言葉を繰り返す。


(一舞と、涼?…2人に何かあったってことだよね?)


 上手くいってたはずの2人。これといって思い当たる問題が無い。


(…あ、でも…一舞がバンド部に入ってから、いろいろ嫌がらせされてるって、香澄が言ってたかも?それに、涼の様子も、なんとなくだけど少し変だった…)


 誤解があったとはいえ一度は別れている2人だ。色々と気を使っていたはずだし、何かあるとしても慎重になるはず。いきなり相手を責めたりなんかしないだろう。だとしたらもっと、根本的な問題なのかもしれない…。

 どんなに考えても今のままじゃ想像や推測でしかないのだけど、考えずにいられなくて、閉じた携帯電話を持つ手に力が入る。



「…美樹?どしたの?」

美樹
「…あ…洋……………………って、なんで居るの!?」


「ん?会いに来たんだぜベイベ」


 いつの間にか私の部屋に上がり込んでいる洋に多少驚いたけど、今はそれどころじゃない…。


美樹
「…ねぇ洋?」


「ん〜?」

美樹
「………」


「ん?なに?」

美樹
「………やっぱりいい」


「えっ!?何それ!?超気になるじゃん!!」


 洋に聞いても仕方ない。でもどうしたらいいのか…まずは落ち着いて私がしなきゃいけない事考えなきゃ…。


(涼は今頃どうしてるのかな…)


 一舞も心配だけど、涼の気持ちも心配だ…気になって頭が整理できない。


 不思議そうに私を見つめる洋を気にしてあげることもできず、携帯電話を握りしめて考え込むばかりだった…。





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