「しーずちゃん」


「…ノミ蟲みたく呼ぶんじゃねぇ」


「随分ご機嫌斜めだね」




静雄のご機嫌斜めの理由はわかってるんだけどね。




「なんでバレンタインなんてあるんだろうな」




臨也ほどじゃないけど静雄も結構女子から人気があったりする。

だからバレンタインも当然もらうわけなんだけど人の気持ちを考えないで自分の気持ちを押し付けるようにチョコを送ってる女子に苛立ってる。




「男は大変だねー」


「でも桜も毎年ノミ蟲のチョコ持ち帰るの手伝ってるから大変だろ?」


「重いけどあいつ一人じゃ持ち帰れないだろうししょうがないよ」




世話のかかる幼馴染みの顔が思い浮かぶ。




「くち」


「へ?」


「にやにやすんな」




自分の口元に手をやると笑ってるのがわかって恥ずかしくなる。




「青春だな」


「べ、べつに臨也は普段あたしのこと気にする心配性野郎なのにたまーにあたしが必要なのか、かわいい奴だな、とか思ってないよ!?」




墓穴




「…もうしゃべんなくていいから」




うわっ、静雄に哀れんだ目で見られた。

自分で墓穴掘ったのはわかるけど静雄にそんな目で見られるなんてあたしも終わった気がする。




「えーと、静雄ってそのチョコたちどうやって処理するの?」




すごく切ない感じになったから疑問を口にする。




「直接もらった奴は気が向けば食うけど基本訳わかんねぇでもらったやつは捨てる」


「残酷だねー」




机の上に置いたあたしの携帯が光った。

着信中:折原臨也




「もしもし」


『今どこいんの?桜来ないとチョコ持ち帰れないから早く昇降口来てよ』


「ごめん、ごめん、今行くから待ってて!」




窓から昇降口をちらっと見れば苛々した顔の臨也が立ってるのが見えた。

今どこいんの?なんて聞かれたけど明らかに目はこっちを向いているわけで。




「静雄ごめん、臨也もう待ってるらしいから先に帰るね?苛々し過ぎて変なもんぶん投げたりしないでね?苛々したらチョコ食べて落ち着いてね。はい、いらないかもしれないけど」



HAPPY VALENTINE!!



(俺にか?)
(うん。味の保証はないけどね。じゃあ気を付けて帰ってね!また明日ー)
(ありがとよ、お前も気を付けて帰れよ)




拍手没夢。

…なぜか拍手にしてた臨也のVD夢が残ってない!

なしてー!?



気を取り直して…
素敵な恋の育て方ヒロインとシズちゃんの会話でした。

シズちゃんもモテるだろうきっと!という願いを込めました←




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