「は?」


「だから、桜の好きなもの知らねぇか?」


「何で?」


「そろそろホワイトデーだろ?その、…桜にもらったから返さなきゃって思ってな」




珍しくシズちゃんから聞きたいことがあるなんて言われて聞いたのが馬鹿だった。




「桜の好きなものねぇ…」




ちらっと教室の外、廊下でクラスの女子と楽しそうに話している彼女を見る。




「桜の好きなものは…」



***



「桜帰るよー」


「ちょっと待って。臨也帰る準備早い」




この日最後の授業も終わって帰る支度をする。

本来なら教科書を机の中から取り出したり予習しなきゃいけない教科の教科書やノートを鞄に入れる作業があるはずなのに隣の席、幼馴染みの臨也はそれをしない。

あぁ、こいつは教科書なんて持ってこないし予習もしないからこんなに支度が早いんだ。






「桜ー、シズちゃんにチョコあげたの?」


「…うん。友チョコね」




もうバレンタインが過ぎてから1ヶ月前の話だから一瞬考えてから返事をする。

臨也に話してないはずだけどなんで知ってるのか、そんなことは聞かない。




「そっか」


「?」




臨也の声のトーンが低くなる。

明らかに不機嫌。

何かしたかな?
でも臨也の質問に答えただけだけど…。




「もし俺が女友達からのチョコもらってホワイトデーにお礼しても桜は何とも思わない?」




例えばの話であって返すつもりはないけど、なんて付け加える。




「しょうがないんじゃない?お礼するのはいいことだよ?」




臨也はあきれたようにため息をつく。
え?あたし何か呆れられるようなこと言った?




「俺の例えが悪かった。もし俺と桜の性別が逆で俺が桜の他に桜が嫌ってる奴にもチョコをあげたとする。何とも思わない?」


「あー、それはちょっと嫌かも…」




あれ、これってもしかしてあたしのこと言ってる?

臨也が静雄を嫌いなのかはわかんないけど多分そうだよね。

臨也の顔を見ても膨れっ面で歩いてるだけ。




「…静雄にチョコやってごめんね。次から臨也のことちゃんと考える」


「…」




臨也は見かけによらずやきもちやきだったりする。

たまにやきもちの域を越えたりもするけどね。




「…臨也君ってかわいーよね」


「…うるさい」




でもやきもちをやいてくれる彼も愛しいと思うあたしは末期でしょうか?



HAPPY WHITEDAY!!



(今日はいつもより荒れてるけどどうしたの?)
(ノミ蟲の野郎に桜が好きなもの何かって聞いたんだよ。…そしたら)
(そしたら?)
(桜の好きなものは俺かな?って)
(ちょっ、静雄!苛々してるのはわかるけど!セルティー助けて!!)






昔過ぎてあまり覚えてない…




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