「えっとね、仕事先の先輩なんだけどもうとにかく優しいの」
本当はこんな話したくはない。
「顔も好みだし身長高いし気がきくし」
彼女が私に話をしてくれるのは私を信頼している、特別な存在だと思ってくれているからだ。
だから私は心を傷めながら話を聞くしかない。
「なまえの好みはレベル高いからな。」
「そんなことないよ。ロイが来るもの拒まなすぎなだけよ」
本当に好きなのはお前だけなのに。
「ひどいな」
「知ってる。あ、そういえば明日食事に誘われたんだよ!」
ひとつひとつの言葉が重く突き刺さる。
「そうか…」
「うん、楽しみなんだー」
「じゃあその人と食事する前に予行練習ということで今晩私と食事しないか?」
こうやってしか彼女を誘えない。
「本当に?ロイ、こういう知識だけはありそうだからおしえてもらおうかな」
「こういう知識だけって…」
「明日楽しみだなー」
彼女の笑顔は残酷に
僕の心に突き刺さる
-END-
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