雨の日は決まって…
彼女が
「あれっ?マスタング大佐、なにしてんの?」
晴れの日以上にちょっかいを出してくる。
***
6月は梅雨の季節だ。雨がよく降るせいで私はもっぱら机の上にある大量の書類とにらめっこする日が続く。
いつものように音も無く、気配も消して執務室に入ってくるとなまえは白々しく私に声をかけてくる。
「彼女にラブレター書いてんの?」
「違う、仕事をしているんだ」
私の持っていた紙を取り上げ、しかめっ面をするなまえ。
「あんたが真面目に仕事するなんて…明日も雨降るんじゃない?」
そう言うと彼女は机の上のティッシュを2、3枚ほどとりなにかを作り始める。
「なまえはなにしにここへ来たんだ?」
「仕事中はみょうじ大佐って呼べって言ってるでしょ?」
てるてる坊主をつくっているようだ。
「悪かった。それで?」
「一服しに来たのよ。雨の日はどっかの誰かが使えないせいで曲弦さんが忙しくて大変なのよ。煙草も吸う暇ないし」
そう言うと私の持っているペンをとりあげ、完成したてるてる坊主に顔をかきそれを窓辺へと吊す。
「きっと明日は晴れるわ」
なまえは黒色の長い髪を揺らし、笑顔でこっちを見る。
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