「なまえ?」
「ロイ?なんでここにいんの?」
***
仕事帰りにいつもどおり公園を横切ると女性がいた。
暗くてよくわからなかったがあいつににている気がして近づいてみるとやはりなまえだった。
「それは私のセリフだ。なまえは何故こんな時間に公園にいるんだ?」
ちらっと腕時計を見ればもう23時半過ぎだった。
「……ロイに会いたかったから」
「…嘘をつくな」
酒を飲んだのだろう。頬がほんのり赤く染まっている。
上目遣いの彼女に一瞬ながらどきっとしてしまった。
「なんでわかったの!?『嘘ぴょーん』って言いたかったのにぃ」
「何年の付き合いだと思っているんだ?」
「まだ10年」
5歳年下の彼女と出会ってもう10年。
私が片思いを始めてもう10年。
「話し戻すがどうせデートだったのだろう?」
「よくわかったわね。さすが10年の付き合い!」
「なめてもらっては困る。今度はうまくいきそうか?」
「残念なことにさっき別れたの」
まぁ予想はついていた。なまえは長く続いてもせいぜい2ヶ月。なまえ会うたびに別れ話を聞かされるのにもなれた。
「別れた理由はまたあれか?」
「うん、あたしの理想じゃなかった」
「やっぱりな」
私から見ればなまえは男癖がよくない。男たらしだと思う。
相手から告白されて付き合って、なまえからふるのがもはや定番。
そしていつもふる理由が『あたしの理想じゃない』からだ。
でもなまえの理想がどんなものかは知らない。
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