プルルル、プルルル


「ん?」


風呂からあがると電話が鳴っていることに気づく。

ディスプレイを見るとなまえの名前が出ていた。


「なまえか、どうした?」

『あのね、今何してた?』

「風呂からあがったところだ」

『そっか。ねぇ、あたしに何してたか聞いて』

「あぁ、何してた?」

『えっと…内緒』


自分から言っといて内緒って…。
ふふっと無邪気に笑う声が聞こえる。

こういうときのなまえは何かよからぬことを考えてるときの笑いだ。


「内緒って何だよ」

『さぁ』

「あのなぁ…」

『あ、ロイ今から暇?ってか電話してて大丈夫?彼女と一緒?』

「質問多いな。暇だから電話してて大丈夫だ。それに彼女はお前だろ?」

『はいはい』


実際、なまえに惚れて付き合ってからは他の女と遊ぶことはほとんどなくなった。
遊ぶとしたら情報をもらうときくらい。
でもなまえは信じてくれない。


「で、何がしたいんだ?」

『内緒だってば。あ、切るね』


ブツッという音がして電話が切れる。
…彼女が何をしたかったのかよくわからなかった。
まぁ前からこんな不思議な子だからしょうがない。
受話器を見つめ、元あった場所に戻す。



と、しばらくするとまた電話が鳴る。

相手はやっぱりなまえ。


「何だ?」

『あのね、あたしさみしいの』

「どうした、いきなり?」

『ロイ、最近お仕事忙しくてあたしにかまってくれないから…』

「あ、あぁ悪い…」


ってちょっと待て。
何の話をしてるんだ!?
いや、たしかに最近は忙しくてなまえにかまってやれなかったが…
いや、そんなことより…

頭に疑問符が浮かぶ私を無視してなまえは話を続ける。


『だからね…』



ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴る。


「誰か来たからちょっと待ってくれ」


ドアを開けるとそこには


『来ちゃった』


携帯を耳に当てた無邪気な笑みを浮かべた彼女が立っていた。


えっと…何してるんですか?

(ロイに会いに来たの。びっくりした?)
(あぁ、びっくりした)
(よかった。ロイを驚かせよう大作戦成功だね)
(…)



-END-




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