「先生、マスタングさんが起きました」

「そうか…」





「大佐、病院って暇っスね」

「そうだな…」


がらがらと突然病室が開く。


「?」

「マスタング、随分と寝たな。またサボりに来たのか?」


その先に現れたのはこの病院の院長であるなまえ・みょうじ先生だ。
その後ろには先生には劣るがそれなりにかわいい助手の看護師がいる。


「…先生、マスタングさんは病人です」

「いや、こいつは病人じゃない。自分で傷塞いでるし何しに病院に運ばれたんだか」


看護師は先生を「まぁまぁ」となだめハボックはこの光景を見て唖然とする。


「ひどいな、先生は。私は貴女に治してほしかったのに」

「自分で治しておいて私は何を治せばいいんだ?その大きな火傷か?それともそのめでたい頭か?」

「先生はちゃんと処置しましたよ」


と看護師が私の耳元でそっと言う。
処置したとはわかっているがそれを聞いて少し口元がほころぶ。


「うるさい!話戻すぞ。…ジャン・ハボックだっけ?あんたはね、…知ってるかもしれないけど下半身がやられてて動かない。だけどそれだけのケガで済んだのはマスタングの正確な応急措置のおかげだ。一応感謝しな」

「はい」


優しい顔でハボックに話をした後、彼女はキッっとこちらをにらむ。。


「ジャンは治るまでここにいるといい。だがマスタングは早く消えろ。東方にいた時もだが中央に来てからもサボりでここを使うからな。しっかり仕事しろ、税金泥棒が」

「先生は本当に手厳しいな」


何で私がサボりでここに来るのかわかってないらしい。いや、わかっていてあえて言うのか?


「黙れ」

「先生、そろそろお時間が…」

「わかった。そうだ、最後に…早く寝て早く治して早くここから出てけ。わかったな?」


『ここから出てけ』だけ余計だな。
先生は私を心配してるのだ。
そんなことくらいわかる。


「はいはい。じゃあ先生お仕事頑張って。嫌になったらいつでも来てください」

「誰がお前のところになんて行くか!」


先生は豪快にドアを開け部屋を出ていく。その後ろを看護師が追いかける。


不器用な彼女

(大佐も大変なんスね…)
(何が大変なものか。愉快なかぎりだ)
(は?)
(彼女はただ素直じゃないだけだよ。)



NexT→オマケ





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