「大尉ー!ヒューズ大尉!お手紙です」
「おー!!ありがとう。俺の「美しい未来」から手紙だ」
ヒューズは軍人が届てくれた手紙を幸せそうに私となまえに見せる。
そこには「グレイシア」と書かれていた。
「グレイシア…女か?」
「あぁ、中央にいるんだ!ずっと俺の帰りを待っててくれてる。あぁぁぁ…他の男がちょっかい出してたらどうしよう!いや、俺みたいないい男を置いてグレイシアが浮気をする訳が…」
「あんたがいい男なのはわかったから。でもここで死んだら元も子もないわよ」
「それに戦場で家族や恋人の話を持ち出して幸せを語る奴は高確立ですぐ死ぬ!その辺でやめとけ」
「お前らひどいな」
こんな血生臭いところでのつかの間の休息。
「そんなことないわよ」
「…。そういやお前らはそういう浮いた話ないのかよ?」
「ロイはいっぱいあると思うけどあたしは残念ながらね」
「なまえは来るものを拒み過ぎなんだ。私みたく心を広く持て」
「うわっ、さいてー」
ヒューズはだいぶ昔になまえにふられた。なまえは頭も顔もスタイルもいいからすごくモテる。
なのに鈍いのか当の本人はそれに気付いてないみたいだ。
「お前らって仲いいよな」
「「誰が仲いいって?」」
ヒューズの言葉に驚き私たちは同時に声をあげる。
それを見たヒューズは笑い出す。
「ちょっとロイ。真似しないでよ」
「それは私のセリフだ」
「このタイミングでハモるって…。本当に仲いいな。お前らくっつけばいいじゃねぇか」
「…やめてよ、こんな女たらし。ロイとはただの腐れ縁よ」
はぁーと深いため息をついてこちらを見るなまえ。
「ヒューズのはいい考えだ。独り身同士くっつくか?」
「馬鹿言わなーい」
「あーあ、残念。ロイふられたな」
ニコニコと笑うヒューズとそっぱをむくなまえ。
そこへヒューズの部下と思われる男が寄ってくる。
「ヒューズ大尉。准将がお呼びです」
「あー。わかったすぐ行く。じゃあまたあとでな、ロイ、なまえ」
部下についていくヒューズを見送りなまえも自分の持ち場へと戻ろうとする。
「なまえ」
「…何?」
自分でも聞こえるか聞こえないかくらいの声で彼女の名前を呼べば、ちゃんと聞こえたらしく彼女は振り返る。
「えっと…もしさっき言っこと本気だったとしたらどうする?」
「さっき言ったこと?」
「独り身同士くっつく…なまえと付き合うって話だ」
なまえは少し考える。
「うーん…。…イシュヴァールを生き残れるような強い男だったら付き合ってもいいなって思うよ。ロイはそれできるの?」
「そんなこと簡単だ」
(ずいぶん自信があるのね)
(そんなことで君と付き合えるなら安いもんだ)
(じゃあせいぜい頑張って生き残ってね。この殲滅戦が終わる日を楽しみにしてるわ)
(あぁ、楽しみにしてたまえ)
-END-
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