20分後。


「うーん…。…!!」


彼女はがばっと起きる。


「びっくりしたぁ…。って、あれ…?大佐?」

「おはよう、やっと起きたか。私は仕事する場所がなくて困っていたんだ。」

結局あの後も起きなかったから机の上からそっと書類をとってソファーで仕事をした。


「あぁ、おはようございます。場所がないってどういう意味ですか?」

「少佐がそこにいると仕事ができないんだが。」

「…あっ!」


最初はわけがわからないというような顔をしていたがやっと状況を理解したらしく顔を真っ青にして土下座する。


「すいません!!ほんと、退職ものです!すいません…」


すごく必死に謝るのもかわいく見える。


「いや、いいよ。いいもの見せてもらったし。」

「いいもの?」


寝ているときの顔を思い出す。


「例えばみょうじ少佐の寝顔とか寝言とか。」


彼女に近づきながら言う。
多分自分は今笑っているだろう。
少佐は顔を真っ赤にする。

「えぇ!?寝顔?寝言!?寝言ってなに言ってました?というか全然意味がわかりません!!」

「まぁごちそうさまだな」

「ごちそうさま!?ちょっと、意味がわかりません!!」


本当、ごちそうさまだ。
寝顔といい寝言といい唇といい。
ふと外を見ると夕日が落ちかけている。
もうこんな時間か…。

「みょうじ少佐、うるさい。それよりもそろそろ帰るぞ」

「話逸らさないでください!」


彼女は怒っているようで頬を膨らませている。
かわいいなあ。


「わるいわるい。じゃあお詫びとして少佐を家まで送るとしよう」
「いや、わけわからないので結構です」
「上司命令」


我ながり卑怯だと思った。
上司命令と言われれば私より階級の低い彼女はそれに従わなければならないからな。


「…それ言われたら逆らえないですよ」
「で、どうする?」


選択肢なんかありもしないのにわざと聞いてみれば不満そうな顔をするが頭を下げる少佐。

「よろしくお願いします…」

「よし。じゃあ早く帰る準備したまえ」



眠る君に秘密の愛を



(で、いいものってなんだったんですか?)
(だから君の寝顔だって)
(馬鹿ですか。貴方馬鹿ですね)



-END-




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