「そうだな」
この笑顔を見ると私まで自然と笑顔になっている気がする。
「あ、無能なマスタング大佐に1つ仕事を与えよう。煙草に火をつけて頂戴」
「私はライターか?」
「えぇ、それもあたし専用の」
指をぱちんと鳴らして煙草に火をつける。
その時、見ないようにしていたのだがなまえの首筋に自然と目がいってしまった。
見たことを後悔した。
私のせいでついた大きな傷が。
「どこ見てんの、エッチ。胸見てたんなら曲弦の名を以て糸でバラバラにしてやる。」
「生憎だが人に見せられるような胸があるのか?」
「…殺してやる」
なまえは声を低くして言う。
やばいな。これは本気で怒っている…
「わ…悪い。本当に悪かった。すまん」
謝りつつ、なまえの胸元を見ると思っていたよりは大きく見える胸。
不覚ながらもどきっとしてしまった。
この邪念を振り払うべく、話題を変える。
「首…本当に悪かったな」
私を守ってついた傷。一生消えないであろう私が愚かだったという証。
なまえは傷痕を隠すように首を手でおおう。
「あぁ、これ?べつにいいわよ。男守ってついた傷とかってかっこいいじゃない。でもまだ許してないわよ」
「…あぁ、知ってる」
許してもらう条件は前から耳にたこができるくらい言われていることだ。
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