「あれ、ロイ君?」
「なまえ…か?」


たまたま今日は早く仕事が終わって街中をふらふらしてたら声をかけられた。

最初は知らない女かと思ったがその声の主は元国家錬金術師で士官学校の同期だったなまえだ。

あの時…イシュバール戦以来の再会だった。



「そっか、マスタング大佐かぁ。それにマース君も中佐なんて。みんな頑張ってるんだね」


イシュバール戦後の軍の様子など公園のベンチに腰かけて話す。


「マスタング大佐なんてお堅いだろ?」

「お堅いかな?かっこいいしすごいと思うよ。あたしは…途中で投げ出しちゃったから」


彼女はイシュバール戦で軍をやめた。
理由は軍の在り方に疑問を抱いていて、もうやっていけないと思ったからだ。


『軍は何の為にあるの?国の平和の為でしょ?何故イシュバール人を殺すの!邪魔者を抹殺するだけじゃ世界は平和になんてなんないわよ!!』


あの頃のなまえは私によく聞いて嘆いていた。


でも私たちは殺すことを続けるしかできず無力だった。

誰一人助けることはできなかった。


「でもなまえみたくやめるのも手だと思うが」

「え?ロイ君やめちゃうの!?」

「いや、そういう手もあるという話だ。」


軍をやめて別の道に進むか、軍で上を目指し続けるか…

私となまえのどちらが正しかったのかなんてわからない。

どっちも正しくて間違いだったのかもしれない。


「それならよかった。約束果たさないまま軍やめるかと思ってびっくりした」

「…約束?」

「忘れたの?大総統になるって話」


でも私は…


「あぁ、約束は守る。近い将来必ず大総統になるから心配するな」


この道が間違っていたとしても歩み続ける。


「うん、ロイ君だったらこの腐った世の中変えてくれるって信じてる。きっとできるだろうから楽しみに待ってるよ」


そう言う彼女の笑顔は眩しかった。


なにが正しかったかなんて僕にはわからないけれど



(今度ゆっくりお茶でもしたいな)
(それはいいなあ)
(マースくんも誘って三人でね)
(マースに言っとくよ)




-END-




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