「なんで今そんなこと言うんだよ」

『さぁ、なんでかな。なんか言いたくなったから電話した』

「死ぬみたいなこと言うなよ」

『死なないさ。なまえとも約束したし』


仲間が死んだときのなまえのなによりも悲しそうな顔が頭に浮かぶ。


「そうだな…もうあいつに悲しい思いはさせない」

『じゃあそろそろ真面目に仕事すっからまたな』


そう言うと一方的に電話を切られる。
これも今日二回目。




これがヒューズとの最後の会話になった。



ヒューズは誰かに殺された。
最期私に何かを伝えようとしたがそれを聞くことはできなかった。
その話はなまえのことだったのか仕事のことだったのかもう知ることもできない。


「大丈夫か?みょうじ中佐」

「大丈夫よ。ロ…マスタング大佐。ご心配ありがとう」


皆が泣いてるなか、なまえは無理して笑っていた。

その姿が見ていてとても辛かった。

葬儀が終わってもなまえはヒューズの墓から一歩も動かなかった。


「大佐、冷えますのでもう戻りましょう」

「あぁ。…いや、中尉だけ先に戻っててくれ。」


中尉は私の目線の先にいるずっと動かないなまえを見る。


「…わかりました。では先に戻りますがあまり遅くならないようにお願いします」

「わかった。ありがとう」


中尉は本当にいい部下だと思う。

そして1人になり最初は声をかけるのを躊躇ったが、なまえの名を呼んだ。


「なまえ…」

「あぁ、ロイ。まだいたの?」


やはり辛そうに笑う。
そして私は思いきり彼女を抱き締めた。


「ちょっ、なに!?」


なまえはびっくりしたように顔を見上げる。


「俺はなまえのこと1人にしないし死なせない。守ってやるから」


俺はなまえと生き延びる。
ヒューズの分まで…


「…」


ふとなまえの顔を見ると泣いていた。

でもそれを見ないふりをして私は空を仰いだ。


「だからヒューズの分まで生きろ」


もう悲しませない


ヒューズの分まで彼女を愛す



-END-




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