「…ただいま」

「どうしたの?」

「なまえ、聞きたいことがあるんだが」

「…急に何?」


彼女はまったく検討がつかないようで俺の言葉を待っている。





「軍に戻るって本当か?」





彼女の手の動きが止まる。


「え…誰がそんなこと言ってたの?」

「部下が大総統に聞いたらしい」


そんなことないって言ってくれ。
「軍には戻らない」と言ってくれ。
だけどなまえは黙ったままうつむいた。

「…」

「本…当なの…か?」

「ごめん」


消え入りそうな声で彼女は言った。


「っ…。なんでだよ!!」


なまえを壁に押さえつける。


「いたっ…」

「約束しただろ!!もう軍に戻らないって!」

「…ごめん」

「恋人との約束破ってまで軍に戻りたかったのか!?」

「…ごめん」


彼女は俺と目をあわせようとはしない。


「ごめんだけじゃわからない」

「…約束破ってごめん。本当にごめんなさい」


なまえを押さえる腕が少し弱まった瞬間、彼女は抜け出し自室へと走っていく。


「おいっ!なまえ!!」


少し頭が冷え、さすがにやりすぎたと思いさっきのことを謝るために彼女の部屋へとむかう。


『っく、…ひっく…っ…』


部屋のドアをノックしようとして彼女が部屋で泣いているのが聞こえた。



涙の理由など知らずに



俺がひどいこと言ったから君は泣いているのかと思った。
でもそれは違うくて…。
俺は君に守られたことに気づけなかった。



-END-




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