「中尉、相席いいかしら?」


仕事が長引いたせいで2時という少し遅めの昼食。
こんな時間にご飯を食べてる人はあまりいないはずだ。
辺りを見回せばやっぱり空いている席はたくさんある。


「え、あ、はいどうぞ」


少しトレーを下げる。


「ありがと」


私の尊敬するみょうじ中佐が前に座り昼ご飯と思われるベーグルを食べ始める。


***


「中佐、空いている席はたくさんあるのになぜここに?」


黙々と食べながら書類と睨めっこしている中佐に問い掛ける。
食べるのが早くて1個食べおわりそうだ。


「ん?1人で食べるより2人で食べるほうが美味しく感じるでしょ?」

「たしかに…そうですね」


この人らしいと思った。


「あ、ロイー、マスタング大佐ー」


遠くにいたマスタング大佐に呼び掛ける。
この距離で聞こえたのか大佐は振り返りこちらへむかってくる。


「みょうじ中佐、仕事中は名前で呼ぶなって言っただろ?」

「だからフルネームで呼んだのよ」




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「見えない臓器の名前は」
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