「じゃあ聞くがお前の理想ってどんなだ?」

「な・い・し・ょ」

「…。理想もいいが現実も見たほうがいいぞ」

「ひどーい。あたしの理想の人はいるよ。でもその人があたしを見てくれないだから替えを探してるの。でも全然だめ。誰も彼の代替品にはならないの」


切なそうな顔をするなまえ。
私だったら彼女にそんな顔をさせないのに、と見えない誰かを憎む。

今すぐなまえを抱き締めて「私にすればいい」と言えたらどれだけいいか。

でも拒まれるのが怖くてそんなことをする勇気はない。


「…やっぱあたしの理想、おしえてあげようか?」


なまえはブランコからおりてこちらへ近寄ってくる。
でもなにか期待をしては駄目だ。


「あぁぜひともおしえてもらいたいものだ」


顔が近くなる。
今すぐにでも体を抱き締めてキスをしたい。
だができない。


「うーんと…国家錬金術師ってゆーのやってて軍で上目指して頑張って、雨の日は役立たなそうな能力で…今あたしの目の前にいる人」


ふとくちびるになにか柔らかいものが触れる。
それがなまえのくちびるだと気づくのに時間はかからなかった。
そしてくちびるを離すとなまえは笑う。


「ははっ、スキが多いぞ。マスタング大佐」

「…やられたな」

「こんなスキだらけでよく軍で生きていけるわね」


人を傷つけることを平気で言う。


「いや、なまえの前だけさ。きっと」

「そっか。で、あたしの愛の告白の返事は「ごめんなさい」かしら?」

「そんなわけないだろう」


なまえの細い腰を抱き寄せて深く口付けをする。


「誰よりも愛しているさ」


誰にでもスキだらけ


(俺は君に一目惚れで10年片想いしてたんだぞ)
(うそ!?知らなかった。ごめんね)
(なまえがやっと俺のものになったからいいよ)



-END-


確かに恋だった様よりお借りしました。




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