「やぁ、今日も薔薇一本くれるかな?」


いつも来る貴方は


「はい」


薔薇を一本だけ買っていく。


「今日は髪型違うね、そっちの方がかわいいと思うよ」


あたしは薔薇を手渡す。


「かわいいだなんてそんな…」

「ありがとう、じゃあ明日も来ると思うから」

「はい、ありがとうございます」


毎日ちょこっと会話をするだけの名前も知らないあの人。
いつも薔薇を一本だけ買っていく。
少し気になるよね。



「なまえ、マスタングさんと結構いい感じじゃん」

「は?誰それ」


休憩の時間。
同僚から言われた名前。
マスタングなんて知り合いあたしにはいないけど…。

「…マスタングさん知らないのっ!?」


机にバンっと手をおく。


「知らないから誰かって聞いてるんじゃん」

「毎日薔薇買ってく男の人。ロイ・マスタングっていうのよ」


へぇ、マスタングさんって言うんだ。


「しーかーもーっ!!29歳。軍のお偉いさんらしいよ!独身らしいし」

「…どうしてそんな詳しく知ってんの?」

「いや…ははっ」


正直彼女に引いてしまった。


「どっちにしろマスタングさんが話しかけるのこの店であんただけだし結構脈ありなんじゃない?」

「なまえ、客だよ」


店長に呼ばれたから食べかけのサンドイッチをまたくるむ。


「マスタングさんかなー?」


笑いながら言う同僚。


「まさかあ」




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