「ハーボりん」

「うわっ!?」

「失礼なリアクションだなー」


そりゃあ驚くだろ。中庭でタバコ吸ってたらおそらく気配を消して近づいてきて後ろから叩かれたんだ。
しかも結構痛い。


「すいません」

「いいよ。あ、今休憩中だよね?火ちょうだい」

「はい」


中央勤務であるこの人…みょうじ大佐が取り出したタバコに火をつける。


「ふぅ〜」

「タバコ吸うなんて初めて知りました」

「そういうイメージない?」

「まったくないっス」


はい、とタバコを1本渡される。上司の前で遠慮なく吸っていいか少し悩んだがありがたく受け取ることにした。


「たしかに仕事中ってか仕事仲間の前では吸わないなぁ」

「そうなんスか。…ところで、何で東方に?」

「ん、ジャンに会いたかった…っていうのは嘘で、しけたマッチに用があってはるばるここまで来たわけ」


みょうじ大佐の視線の先をおう。
ちょうどここからだと執務室が見えてそこにいる大佐も見える。


「しけたマッチって…。貴女の恋人でしょ?」

「ん?あいつが言ってたの?」


恋人ってこと、と耳元でささやかれる。


「は…はい。みょうじ大佐のことすごく自慢してました」

「…じゃーあとでしばかなきゃな」


ポキポキと指を鳴らすみょうじ大佐。

少しご立腹かと思い顔をのぞくと意外にも口元がほころんでいた。


「まぁそれはおいといて…、あいつはちゃんと仕事してる?」

「まぁそれなりに」


仕事してないって言おうとしたけどマスタング大佐をたてるために嘘をついた。
そしたらみょうじ大佐は執務室を指差す。


「ちゃんと仕事してたらホークアイがあんな鋭い目するわけないでしょ。あいつがちゃんと仕事するよう見張りかしら」

「…わかってるなら大佐に仕事するよう何か言ってやってくださいよ」


俺の気づかいは何の意味もなかった。


「そんなのホークアイにまかせればいいわ。あたしはあいつの世話係じゃないし」

「中尉に妬いてるんスか?」

「まさか。そんなことで嫉妬するほどあたしは小さい女じゃないわ。おい!無能マスタング!!」


タバコの火を消してからみょうじ大佐は執務室に向かって声をあげる。


たしかに


貴女はそんな小さい人じゃないですよね、
(なまえ…とハボック、何してるんだ?)
(んー?いちゃらぶしてた)
(ちょっ!?みょうじ大佐、はなれてください!!)
(ハボック…、お前覚えてろよ)
(え?俺っスか!?悪いの俺ですか!?)



-END-




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