「なんで今年は雪降んないのかねぇ…」


辺りは17時だというのにもう真っ暗。
仕事を終え寒空を見上げれば綺麗な星が出ている。


「ロイはそう思わない?」


「いやぁ…」


苦笑いをしつつ少し彼女を見たが彼女の目は私に向いていなくて空を仰いでいるだけだった。


「ロイは雪嫌いなの?」

「そ…そんなことはない」

「あたしはね、雪好きだよ」


にこっと笑った彼女の顔はまだ空を見ていた。


「そんなこと知ってる」


毎年楽しそうに巨大雪だるまを作ってるなまえが頭に浮かぶ。
そして毎年その手伝いをさせられている自分も思い浮かぶ。


「じゃあ何で好きか知ってる?」

「知らんな。私が無能になるからか?」


冗談混じりで言うと彼女は驚いたように私の顔を覗きこんだ。


「…なんでわかったの!?」

「え?」


まさか驚かれるとは思ってなかったし予想外の言葉に戸惑った。


「ロイが無能になるとあたしのところに仕事いっぱい来るのよ。仕事好きなあたしとしては嬉しい限り。あ、あと雪だるま作れるからってのもあるかな」


雪だるまを作れるからという理由で好きだと思ってたんだがついでそれはついでだったらしい。


「…無能って言われるの案外傷つくんだぞ」

「あ、ごめんねー。心で思うだけにする」

「おい!!」

「あ、雪降ってきた!」



今年も


(ロイ、今年も雪だるま作るの手伝ってね!)
(しょうがないな。かわいい彼女の頼みだからな)
(ありがと!今年は去年の1.2Mの記録を越すからね!)
(あぁ…(去年以上でかいのは無理だろ…))
(なんか言った?)
(な、なんでもない)



-END-




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