こいつの第一印象は'小せぇ、細い、弱そう'だった。

訓練兵時代から知ってはいた。
対人格闘でも組んだことがある。だからそんな第一印象とは裏腹に小さくて弱そうに見えるくせに強いことも知っていた。

奴は俺に次いで2位で卒業した。対人格闘成績だって5位内に入っていただろう。

同期ではあるが別に話す内容もないし卒業して配属兵科が決まった今の今までまともに話したことはなかった。




「えっと、なまえです」


「リヴァイだ」


「前に何回か対人格闘で組んだことあるよね?」


「あぁ」




何でいきなりこんなことになってるのかと言うとクソ眼鏡が『一応同期だし同じ調査兵団だし仲良くしよ!』とか言ったのが始まりだ。
別に俺は馴れ合う気はないがな。




「リヴァイも組んだことあるからわかるだろうけどなまえはかわいくて強くて完璧だからね、狙ってる男も多いよ。そんな輩の一員にならないように気を付けなよ」


「ハンジ!!わたしかわいくないし強くないから!適当言わないで」


「あー、なまえかわいい」


「ハンジ!!」


「うるせぇ、黙れクソ眼鏡とクズ」


「クズ!?」


「ひどいなぁ」




さっきも言ったがこいつが強いのは知ってる、基礎は完璧だった。だが応用が出来なければ戦いでは死ぬ。
基礎が完璧すぎるからか応用は苦手そうだと、実戦では使えなそうだと思った。
すなわちすぐ死ぬだろうと思ったってことだ。

まぁ、こいつが生きようが死のうが俺には関係ないがな。




初めての壁外調査、奴と一緒だった。




「同じ班だね、よろしく」


「言っとくけど俺はお前が死にそうになっても多分助けない」


「ひどいなぁ、なーんてね。いいよ、ほっといてくれて。人に迷惑かけたくないし。死ぬときは勝手に死んどくから」




できれば遺体も回収しないで、と。

奴の顔は笑って、冗談で言っているのかと思ったが本気のようだった。
それが逆に気にくわなかった。皆死にたくないと、遺体は回収してほしいと、思っているだろうにこいつはそれをどうでもいいかのように言う。

奴が死んだら必ず遺体を持ち帰ろうと思った。





だがなまえの戦い方を見て驚いた。

俺が舐めて見てたってこともあるが隙がなく強い。
多分これだけ強ければ滅多に死なないだろう。




「きゃっ、と。危ないなぁ」




強いだけではなく戦い方も綺麗だった。
返り血をかなり浴びていたがそれがこんなに様になる人間は他にいないんじゃないか、とそれくらい目を奪われた。





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