「いきなり何?」
「お前に危機感がないっていうのはこういうことだ。俺以外の男に対して危機感がなさすぎる」
リヴァイの右手がわたしの両手を頭の上で押さえつける。
どうにか抜けようかと思うけど意外と抜けない。
「さっきの新兵だって。エルヴィンの前でもそうだ。壁外調査みたいに隙を見せるな」
「…リヴァイ、痛い。離して」
お前は男に隙を見せすぎだ、と腕が一瞬強く締められる。
男女の力の差を改めて思い知る。リヴァイは特別強いけど、他の男の腕だったら自力で振りほどけるかと言われたら正直自信はないことに気づく。
リヴァイのことだから離してと言ったところで解放してくれないと思ったけどすんなりと腕を離してくれた。
「俺だからこんな風に簡単に離すが他の男だったらどうする?簡単には離さねぇぞ、…いっ゙」
「今の10倍以上の威力で急所を蹴る」
離してくれたけど何か納得いかなくてムカついたからまだわたしの上にいたリヴァイの急所を少し控えめに蹴る。
「なまえ、お前な」
「立派な護身術です」
「…まぁ、悪くねぇな」
そう言ってわたしの上から退けるリヴァイを見てどうだ!と思ったのと同時に少し申し訳なく思った。
「なんかごめんね」
「何に対しての謝罪だ?」
「…蹴ったこともだけど、隙があるってほうが大きいかな」
「わかればいい。なまえは俺の女だ。他の奴に渡さねぇからな、覚えておけ」
わたしに背を向けて話すリヴァイの表情はわからない。
でも、耳がほんのり赤いのは見えた。
「リヴァイ!」
「何だこっち来るな」
「わたしはリヴァイだけだからそんなに心配しなくて大丈夫だよ」
思いっきり不機嫌な顔されたけどわたしのこと考えてくれてるんだなって思って少しうれしかった。
君の網膜に焼き付けたい
(貴方が嫉妬なんて…人間らしいとこもあるんだね)
(どっから湧いてきたんだ、クソ眼鏡黙れ)
(でも束縛し過ぎると嫌われるからほどほどにね)
(…)
-END-
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