ハンジを見たら一言くらい文句を言ってやろうかと思ったけど、例えば『わたしと巨人どっちが大事なの(冗談だけど)』みたいな。だけど目の下の隈がすごくてしかもまだ興奮冷めやらぬみたいなオーラが出てたからやめた。
ハンジは壁外調査後でも徹夜できるって若いなぁ。




「昨日は大丈夫だった?」


「どっかの誰かさんがいなくて団長のとこ行ったけど忙しそうで結局リヴァイのお部屋でお世話になりました」


「へぇ、じゃあやっぱそれの犯人はリヴァイか」


「?」




ハンジが何かに納得したようにそれ、とわたしを指差す。
全然話がわからなくて自分を見るけど『それ』の正体がわからない。




「何が?」



「え、まさかなまえ気づいてないの?」




「わからないから聞いてるんだけど」




気まずそうな顔をして頭をポリポリ掻くハンジは少し考えるような顔をしてからちょいちょいと手招きをする。
机を挟んで向かいに座っていたわたしは身を乗り出して彼女に顔を近づける。




「…首のキスマーク」


小声で囁かれればぼんっ、と自分の顔が熱くなる。




「え!?」


「後ろの窓で見えるかな?」



わたしの背にある窓ガラスで確認することをすすめられ窓を向いて目をこらせば首もとの見えるか見えないかギリギリのところにほんのり赤いマークが見えた。




「あり得ない…」


「見えるか見えないかの際に付けるとかさすがリヴァイだね」


「…リヴァイじゃなくて蚊にでも刺されたんじゃない?」




だってあのリヴァイがつけるはずない。
期待しないって決めたばかりだし。
何かの間違いだろう、きっと。




繋いだ手の温もりさえ愛しくて



(蚊って、それ無理あるでしょ)
(もういいから、蚊だから。ハンジ、黙って)
(どうしたもんかなぁ)



-END-





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