「よっ、と。動きが鈍いね」




まず一体仕留めた。他の巨人が手を伸ばしてきたからそれに乗り項まで走る。
もう片方の手で反撃を受けそうになるけれど問題ない、切り落として項を切る。




「はい、二体」




あぁ、まるで手応えがなくてつまらない。
気づいたら他の二体はリヴァイが倒してくれていて最後の一体。

最後の一体も巨体にワイヤーをかけて殺すつもりだった。計画通り巨人に引っ掛かったのはいいが何故かワイヤーが巻かれない。




「なんで!?」




予想外の展開に一瞬驚いた。その一瞬の焦りが駄目だった。とりあえず足を削ぎ落として、と体が動くより先に巨人の足がわたしを蹴るのが先だ。




間に合うか?
いや、もしかして間に合わない?





「っ!」




剣を振り回し足を削いだ。
巨人は倒れたけど、何かおかしい。




「リヴァイ、兵長」


「何してんだお前」




わたしが巨人の足を削ぐのと同時にリヴァイが止めを刺してくれたみたいで辺りは静かに戻った。
わたしが感じた違和感の正体がわかった。




「立体起動の故障か?」


「わかりません」


「まぁいいだろ、もう撤退命令も出たし交戦しないで戻るぞ」


「はい」




その後木を相手にワイヤーを刺して巻いてみたけどちゃんと巻けた。
結局さっきの事故は何だったのかわからない。

撤退しながら頭の中でさっきの状況をシュミレーションしてみる。多分リヴァイの方がわたしより早く巨人を刺していた。だからあんな手応えなく巨人の足を削げたんだと思う。リヴァイが止めを刺してくれてなかったらもしかしたら…




「…巨人がわたしを吹っ飛ばす方が先だったかも」




立体起動が上手く動かなかったのも問題だけど焦らなければわたしの方が速かった。結局動けなかったわたしの責任だ。




君の隣は世界一素敵なところだ



(おい、なまえ!)
(はい!)
(ぼーっとすんな、帰るまでが壁外調査だろう)
(すいません)



-END-





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