突如現れた多数の巨大生物「巨人」の侵攻により、人類は存亡の危機に瀕する。生き残った人類達は、三重に築かれた巨大な「ウォール・マリ ア」、「ウォール・ローゼ」、「ウォール・シーナ」という城壁の内側に生活圏を確保すること で、一時的な安全を得るに至った、なんて話はどうでもいい。

言っちゃ悪いけれどわたしは全人類の為に命をかけて戦っているわけではない。わたしはいつだって大切な人のために、剣を奮う。

調査兵団副兵士長なんて言われているけど兵士以前にわたしはそこら辺の一般人と変わらない。一人のただの女なのだ。




「なまえ、不機嫌そうな顔してどうした?」


「彼氏に振られた」


「あっはっはっ!それは災難だね」


「面白がってるし」




かんぱーい、とグラスを合わせればいい音が響く。
今日の仕事(この前の壁外調査の報告書書き)も無事に終わり今はハンジと飲み屋に来ていた。
ただでさえ今日はデスクワークだけで1日が終わってしまい物足りなさでイライラしていたというのにここに来る前彼氏から振られ気分は最悪だ。




「まぁ、そんなことだろうと思ったけどさ。いつものことだし。誰と付き合おうがなまえの中でリヴァイに勝てる男なんて…もごもごもご」




それ以上は禁句だと話の途中ハンジの口におつまみを突っ込めばもごもごと話を続けるが何を言っているのかは理解不能。
ようやく話すことを諦めた彼女が咀嚼して飲み込むまでの様子をビールを飲みながら見守る。さすがに窒息死とか笑えないからね。




「まったく、なまえってばひどいな、でも本当のことでしょ?」




ハンジはニコニコしていてわたしを真っ直ぐ見ていて、その目は何もかも見えているみたいで然り気無く視線を逸らす。
まぁ恋愛事は全部ハンジに話してるから何でも知っているのは間違いじゃないけど。





[*前] | [次#]
戻る
「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -