臨也さんがいつか、という時大抵先はない。

口だけ、ということ。

だからどうしたってことはないけど。




「ありがとうございます。そういえば朝ご飯食べました?」


「まだだよ?」


「ですよね、目玉焼きでも作るんでどいてください」


「やだ」


「…」




どうせどかないのはわかってるけど聞いてみただけ。

あたしがずるずると臨也さんを引きずってキッチンを移動すれば一緒に動くけど途中で面倒臭くなってはなれるだろう。

それまでの辛抱。




「ねぇねぇ」


「何ですか?」




やっとあたしからはなれた臨也さんはあたしのコーヒーを啜る。




「1461日」




思ってたより綺麗に出来た目玉焼きを崩さないように慎重に皿にのせる。




「何が1461日ですか?」


「今日でなまえがここに来て四年、それを日数で換算すると1461日」




ちゃんと閏年のことも考えたよ、と笑う。

びっくりしたように顔をあげればキッチンのカウンターを挟んで30cmくらい先に彼の顔があった。




「覚えてたんですね」


「勿論」


「驚きました」




近くにいたついでに臨也さんに目玉焼きの皿を渡せばちゃんとリビングまで持ってってくれた。

それを見てからトースターから焼き上がった食パンを取り出してリビングへと持ってく。




「酷いなあ。なまえが来た日記念で毎年この日はお祝いしてあげてるじゃん」


「そんなのされた覚えないです」




あ、マヨネーズ持ってかなきゃ。




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