コーヒー入れるのなんて毎日の仕事のうちの一つだから気にしない。

考え事をしてたし気配もなく近づいてくるからわからなかった。




「…臨也さん。重いからやめてください」




気づいたときには後ろから抱きつかれていて胸の下で手を組んで左肩に顔を埋める臨也さんがいた。




「ここは俺の定位置だからね」


「…(返事になってないし定位置って初めて聞くし)」


「返事になってないとか思わないでね」




前々から思ってたけど臨也さんはやっぱりエスパーなのだろうか。

そこでやかんのお湯が沸いたからインスタントコーヒーを入れたカップにお湯を注ぐ。




「何でかなー?なまえと同じ分量で入れてるつもりなのに何か違うんだよね」




肩に埋めていた頭を上げてコーヒーを入れる過程をじっと見つめられる。




「これですか?」


「うん、不思議だよね。俺の好みの味を俺自身より他人のなまえの方がわかってるんだよ?」


「インスタントだから誰が作っても大して変わりませんよ」




まあ初めていれたりすると美味しくないとかあるけれどさすがに四年もいれてるわけだからそれなりだと自分で思うけど。




「ふーん。なまえはいつも俺に美味しいコーヒーいれてくれるからいつか俺もなまえにとって一番おいしいコーヒー作れるように頑張ろっと」




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