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「もしもし波江さんですか?今日臨也さん熱出しちゃって。…はい、今日はお休みということでよろしくお願いします」
私のせいだよね。
…はあ、
本日中何回目かのため息が溢れるのが自分でもわかる。
30分前。
「臨也さーん、起きてください朝ですよ」
「…」
あー、またリビングのソファで寝てるよ。
布団もかけないで寝てる主の肩を揺する。
めっちゃ不機嫌そうな顔された。うわぁ、ここまで不機嫌そうなの珍しい。
「どうしました?」
「寒い…」
「そりゃあ毛布もかけないで寝たら寒いですよ」
「ごめん、調子良くないからもう少しだけ寝かせて」
それを言うと同時に私に背を向けてソファに縮こまる。
まさか…
「…」
まさかとは思ったけど静かに自分の部屋に戻って救急箱から体温計、あと自分のベッドから毛布と布団を持ち部屋を出て臨也さんのところに戻る。
「臨也さん、これ体温計、熱計ってください」
横目でちらっとこっちを見るけれどそれ本当に一瞬ですぐに顔が見えなくなる。
「や、熱はないから大丈夫。もう少し寝たら仕事始めるから気にしないで」
「計らないと臨也さんの今日の仕事全部勝手にキャンセルします」
「…なまえも言うようになったよね」
私の手から体温計をしぶしぶと受け取って脇の下に挟む。
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