「健康の為に6階まで歩いて行こうかな」




なーんてらしくないことを言ってみるだけで迷わずエレベーターへと向かう。



***



「はじめまして折原臨也さん」




ドアを開けておじゃましますと言えば玄関にこの家の主が待っていた。




「はじめましてみょうじなまえちゃん」




当たり前のようにフルネームで呼び合う。

だけど本来なら彼女は俺のHNしか知らないはずだし、俺も知らないふりしてるからフルネームで呼び合うのはおかしい。
彼女を試したんだけど、さすが天才ハッカー兼クラッカーだね。




「どうぞ、入ってください」




ぽふっとうさぎのかいてあるスリッパが足元に置かれる。
それを履いておそらく自室へ行くだろう彼女の後をついて行く。

部屋に行く途中にあるリビングに目がいくけどほとんど物がなくて生活感がなかった。




「リビングはご飯以外で使ってないんでそんな汚くないけど私の部屋は本当汚いから覚悟しててくださいね」




ある部屋の前でとまる。
おそらく彼女の部屋。
戸を開けたそこは異質だった。

ハッカーなんて言うから普通の女の子の部屋ではないって思ってたけど実物はそれ以上だった。




「すごいね。こんなにパソコン必要?」




部屋の中にはパソコンが6台。

5台は起動中でもう1台の画面には何かが細かく書いてある紙がテープで貼ってある。




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