「いいよ。今度時間つくってね」


「ありがとうございます!」




振り返らずにひらひらと手をふってまた歩き始める。

それにしても、




「正臣、いきいきしてて楽しそうだったな」




一昔前、正臣が黄巾族の頭だった時代に臨也に付き添って行って知り合って、仲良くなって、ブルースクエアの件とかあったけど立ち直って自分の場所を見つけた正臣はすごいと思う。




「強いなあ…」




ぼそっと呟いた声は雑踏に紛れる。



***



「なまえさん素敵な人でしたね」


「なまえさんの魅力がわかるなんてさっすが杏里!俺が来良選んだのってなまえさんの影響もあるんだよね」




脳裏に浮かぶのは憧れの人の来良の制服姿。

どう足掻いても手に入れることのできない高嶺の花。




「…昔からかわいいっていうか美人だったよな」


「何か言った?」


「何でもないよー。じゃあナンパに行きますか」



***




「おかえり」


「ただいまー、って帰ってたんですか?今日は早いですね」


「なまえがいつもより遅いだけ」




いつもなら俺が帰ってくれば笑顔でむかえてくれる彼女の姿がなくて30分、ようやく帰ってきた。




「ごめんなさい。パソコン見て回ってたら時間わすれちゃって」


「通りで遅いわけね。っていうかあれ以上パソコン必要?」




なまえの何台もパソコンがあってコードだらけの部屋が自然と思い浮かぶ。

とても女子の部屋とは思えないあの部屋。




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