「余裕ないなんて珍しいな、臨也くんよぉ」


「いや、余裕ないとかじゃなくて心配してんの。どうしようホテルとかに連れて行かれたら。あの男殺るしかないね」


「…手前は保護者か」




怖い形相をしたノミ蟲、楽しそうな男、その男とは逆に笑顔がひきつってるなまえの顔を代わる代わる見るのだった。



***



「今日は本当にありがとう。俺は楽しかったよ」


「あたしも楽しかったです。ありがとうございました」




あんまり楽しくはなかったけどそれをそのまま言うなんてできないから楽しかったと言ってみた。

早く帰りたいなんて思ってたのに結局もう夕方だ。




「嘘でも楽しかったって言ってもらってよかった」


「嘘なんかじゃ…」


「だってそんなに楽しくなさそうな顔してたよ?」




今まで君のこと見てたんだからわかるよ、と笑う。

見抜かれたことに驚いた。
そんなにわかりやすかったのかな。

少しだけ申し訳ない気持ちになった。

先輩に手招きをされて近づく。




「何か無理して笑ってるように見えたよ?折原君といる方がいい笑顔だと思ったな」


「?」




そりゃあ臨也の方が気は楽だからそれは間違ってないと思うけど。

でも先輩の言葉に何か違和感を感じた。

何だろう。

十分過ぎるくらい近づいたその距離で抱き締められて耳元で囁かれる。




「なまえちゃんって折原君のこと好きだよね?」



共同戦線異常有り


(おい、ノミ蟲!)
(あー、苛々する。なまえは俺のなんで触らないでくれませんか?先輩)
(…臨也に静雄?え!?何でここにいるの?)





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