***




「みんな練習頑張ってるね」


「まあ高校生なんてそんなもんだろ」


「シズちゃんも高校生じゃん」




昼休み、普段なら誰もいないグラウンドがクラスマッチの練習場となってるらしく窓からサッカーやらドッジボールやらしてる人たちがたくさん見える。




「お前らは練習しないのか?」




あたしと同じくグラウンドを見ていたらしい静雄が疑問を口にする。




「臨也くーん。練習なんている?」


「いらないでしょ。面倒臭いし。それになまえと仲良く練習してる姿が想像できない」




仲良くする必要はないけど臨也と練習してる姿なんて自分でも思い浮かばない。

それに結局は運だから、これがあたしの考え。




***




「じゃーんけーんぽん。よーし、俺前方」


「じゃああたし後方ね」




試合直前にじゃんけんで前方後方を決めるのなんてあたしたちくらいだろう。

臨也とあたしのペアがそんなに珍しいのかこれまでの試合より見物客がたくさんいる中で試合が始まった。




「…っ!ちょっと、今の取れたでしょ!?」


「なまえに見せ場つくってあげたんだよ。それになまえなら打ってくれるって信じてたからね」




ボールはきれいに相手二人の間、コートぎりぎりでバウンドした。




「ほらね。二点入った」


「うざっ。点数が入ったから通る言い分だからね!次臨也が入れてよ!?」


「えー、なまえが入れたほうが得だからなまえが入れてよ」




意外にも信頼関係


(お前らが準優勝とかすごくね)
((納得いかない))
(やっぱなまえに任せたのが悪かったかな)
(じゃああんたが一人でやればよかったでしょ!?)





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