火拳のエースと小さなナース | ナノ

火傷しちゃうぞ!(2/6)








「うわ、鼻血…っ」



「気付いてなかったの?」



「それに手首…軽い火傷よ。
薬持ってきてあげるから、座ってなさい。」



「は、はい……っ」



ナースの声に、ゆいは大人しく椅子に座る。

新しく注がれた紅茶が目の前に置かれる。



なんて優しいナースさんなんだ、顔が笑顔なら最高だ。


そんな事、先輩には言えない。


鼻に詰められたティッシュ。

こけた時に打ったので鼻も痛いし、手首も痛い。



薬を持ってくる間、先輩は氷水の入った袋を手首にあててくれた。

ひんやりして、気持ちいい。



「…まだ痛む?」



「いえ、だいぶマシです。」



「軽いから、跡は残らないと思うわ。
薬塗るから、手首を貸して。」



「はい。」



慣れた手つきで自分の手首に薬を塗る先輩ナース。

綺麗な手が、少し色の変わった手首に薬を薄く伸ばしていく。


おまけにガーゼや包帯も素早く巻いてくれた。



これがナース…
凄く憧れる。



「ゆいは紅茶係禁止よ。」



「は、はい…。」



やっぱり鬼のような視線。

怒った美人ほど怖いものはない。





仕切直して、ティータイムを始めるナース。

ゆいも強敵のレモンを目を細めながら絞る。



「うちの火傷の薬、最近よくなくなるわ…」



「エース隊長といい、ゆいといい…ほんと火傷の薬を使ってくれるわ…」



「え、エースは火傷しないんじゃあないんですか…?」



ストレートにそう聞けば、ナースは紅茶を飲み、言った。



「エース隊長が火傷するんじゃないのよ。」



「エース隊長が火傷させる方。」



ああ、とゆいも納得する。
確かに火であるエースが火傷するなど、前代未聞である。















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