火傷しちゃうぞ!(1/6) 午後3時からの1時間はナースのティータイムと言う名の井戸端会議が始まる。 紅茶のお湯を沸かすゆい。 沸騰したポットのお湯を、ティーバッグの入ったカップに入れていく。 この作業は先に医務室に来て、手が空いている者からする作業だ。 ゆいは今日は珍しく早めに来たので、慣れない手つきでお湯を分けていく。 熱いお湯がティーバッグと混ざり、紅茶のいい香が漂う。 ここまではよかった。 無事にテーブルまでお盆で運んだゆい。 だが、どう考えてもカップが1つ足りない。 数え間違えた。 急いでもう1つをつくる。 先輩達は次々と席に座り、今日の仕事の話しをしている。 ゆいは慌てて紅茶をつくり、席へ運ぶ……… 「あ…っ」 何もない所でつまずいた。 ゆいにしたら、よくある事だ。 だが、今つまずくのはやめて欲しかった。 スローモーションで先輩達の驚く顔が見えた。 やばい、 カップを割ったらダメだ…! 先輩の怒る顔がすぐに出てくる… お、お、恐ろしいっ ゆいはカップを手に持ったまま、顔から床へダイブする。 パチャ…ッ 鼻がいたい。 それ以上に、手首が熱い…っ 見れば、カップは無事だ。 ホッとすれば、先輩達が寄って来る。 「…先輩、カップ無事です!」 ニコッと笑うゆい。 そんなゆいに溜息を零したナースは、ゆいの頭を中指で弾いた。 「いた…っ」 「いた、じゃないわよ…全く。 カップは無事でも、ゆいは無事じゃないでしょ?」 医務用の繊維の跳ばないティッシュペーパーを鼻に当てられる。 く、苦しいです… そう言えば、ティッシュが鼻から離れる。 そのティッシュに付いてる血。 ← | → |