エースがいいから…(2/7) 「ゆい、どれ食う?」 これ美味そうだぞ、と差し出されるパスタをゆいはエースから笑顔で受け取る。 確かに美味しそう。 それを受け取ったら、エースは遠慮なしに食べ始めた。 いつものスピードで。 店員や周りの客は唖然となって見ている。 そんな情景が少し面白くて、口が緩む。 「どうした、ゆい? これ、食いたいのか?」 差し出される肉に、ゆいは首を横に振る。 「うんん、エースってよく食べるね、て。」 「んだ、今更だな… だいたいゆいは小食なんだよ。」 「そんなことないよ。 …って、え、エース…!?」 エースは突然、皿に顔からダイブした。 寝てしまったのだろう。 今までエースを見てた店員と客は慌てている。 そんな様子に、少し苦笑する。 私も最初はそうだった、と。 お客様、と駆け寄った店員に、エースは目を覚ます。 「くそ、また寝ちまってた。」 「おはよう。」 「おう!」 何事もなかったかのように食事を再開する2人に、目を離そうと思っても離れない客。 そして、立ったまま唖然とする店員。 エースはこの状況になれているのだろう。 何も気にせず食事をする。 それにゆいも手元にあるパスタを頬張った。 ゆいがパスタを食べる時間と、エースがこの店のパスタ以外の品物を食べるのは、ほぼ同じぐらいだった。 ふう、食った食った、と満足げなエース。 勘定し、再び街を歩く。 するとエースは立ち止まって言った。 「ホテルとっとくか。」 「え…?」 「船で寝るのがいいか?」 どっちでもいいけどな、と笑うエース。 ゆいは凄く恥ずかしい気になった。 「あ、あたしもどっちでもいいよ!//」 「何焦ってんだよ、やらしいな。」 「なんでそうなるの!///」 「顔真っ赤だぞ?」 面白げにニヤけるエース。 こりゃホテル決定だな、と言い歩き出す。 もぉ、と真っ赤なゆいはエースの横を歩く。 ← | → |