先輩とレモンティ(7/8) ただ、ゆっくりと春風がゆいの赤い髪を揺らす。 そんな中、甲板の奥の方から何人かの野郎の声がした。 「おいエース、昼間っからなにナース口説いてんだよ!!」 数人の野郎はこちらに近付いてくる。 「んな訳ねぇだろーが。」 と、一言だけ言い返すエース。 どうやらエースの仲の良いクルーらしい。 野郎は振り返ったゆいを見て、素晴らしい程 驚いた顔をした。 「待てよ、ナースじゃねぇな…」 いやいや、あんたが待てよ、 と心の中で突っ込むゆい。 それに笑うエース。 「小さいナースだろ?」 笑うエースをキッと睨むゆい。 それにエースは苦笑する。 「やっぱりナースか?」 「こんなコ、いたんだな。」 なかなかゆいの胸元を見てニヤけるクルー。 その視線に気付いたエースはゆいへの視線を自分の背中で遮るように隠す。 「やましいんだよ、お前ら。」 「おいエース、そりゃねーぜ。 俺達のオアシスだぞ、そのコは。」 「それがやましいっつってんだろーが!!」 そんな会話に、何の意味も理解していない筈のゆいが笑う。 そして「エース、」と一言いう。 それにエースも仕方なさ気にゆいを元に戻す。 「いや〜、可愛いなあ。」 「はじめまして、ゆいです。」 人形の様にニコッと可愛らしく笑うゆいに、鼻の下を伸ばすクルー。 そして面白そうでないエース。 「ゆいちゃんか〜」 「エースには気をつけろよ、こいつ、こう見えても狼だからな。」 「いや、どこからどー見ても狼だろ、な、エース隊長?」 笑うクルー。 仕舞いには「灰になりてぇか」と冗談気に脅される始末。 ← | → |