火拳のエースと小さなナース | ナノ

悪いものは悪い(6/6)








導き出すのに時間は掛からなかった。


自分にできる最大限のこと。




「ゆい、」



寝そべるゆいの身体を持ち上げ、ぎゅっと抱きしめてやる。


こんなんじゃ根本的なものが何も解決されないのは分かっているけど。



自分は医者ではない。


だから、病気を見つけるより痛みを和らげられるかもしれない行動を。


痛みが和らげなくても、こういう時に真っ先に安心して欲しいから。



痛がるゆいの目は次第に力を無くしていき、握られた拳は開かれる。



「ゆい、平気か?」



「、うん……もう大丈夫みたい。」



自分でも何が起こったのか分からない…顔に出ているその思いに、体中に入っていた力が抜ける。


へへっと笑ったゆいに、とりあえずほっとする。



痛みは完全に止んだみたいで、どうしてだろう?とポンポンと自分の頭を叩くゆい。


恐ろしいから叩く手をすぐに止めてやった。



…本当に何が起こったのか。


とりあえず、今日はナースの姉ちゃん…より、やっぱり船医にしっかり診てもらった方がいい。



「よし、ゆい…「あのね、エース…っ」



医務室へ行くか。

その言葉を掻き消すようにゆいは言い放った。



その表情はいつもより少し不安げの混じった表情で。



「エース…わたしがエースを噛んだのって……



初めてだよね?」










continue...











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