火拳のエースと小さなナース | ナノ

悪いものは悪い(5/6)








「もう1回、言って!」



「ばーか、んなこと何回も言ったら意味ねェだろ?」



「う…でもわたし、毎回ときめく自信あるよ?」



どんな言葉だって、エースから言われたら好きだから。

何気なくゆいの口から吐き出されたその言葉。



こいつは…ほんとに何も考えていないところが1番怖い。


見つめる瞳を少しだけ挑発的なものへと変えたのは、多分わざとではないだろう。



「じゃあゆい、」



「?」



ゆいにやられて終わるのはどうも気が済まない。


愛された証…とは言い切れない跡をナースに見せに行って、やっと同じ空気に戻ったんだ。



ゆいも元気、ナースに時間をもらった、ということ



「今からいっぱい色んな言葉、掛けてやるからな?」



「う…や、やらないよ!
ついさっき噛まれたのに…」



懲りてない、そう言うゆいの唇を塞いでやる。


ここで噛んだ話をすれば、最終的にゆいに罪悪感を感じさせたまま抱くことになるかもしれないから。


取って食おうなんて以っての外なわけだ。


何だかんだですぐに諦めてしまったゆいの舌も、自分を求めて絡んでくる。








だが、ゆいは何を感じたのか急に動かなくなり、ピクッと身体を揺らした。



何が起こったのか分からないが、とりあえず唇を離してやる。


唇を離せば、ゆいの身体は大きく反れてベッドへと沈み込む。



小さな唸り声を出しながら、頭を押さえこむ。



「ゆいッ!?」



寝そべり、固く目を閉じて頭の痛みを堪えるゆい。


その症状は今まで見たことはないもので、動揺するエースはゆいの肩を摩る。



「ぃ……ぁっ、」



「ゆい、今ナースの姉ちゃん呼んでやるから、ここで待ってろ…っ」



「やっ、エース…ッ」



バッと掴まれる腕。


それはまるで"行かないで。"と言っているようで。



こんなゆいを放っておくわけにはいかないのに、自然と身体がゆいの方へと向いていく。



こういう時はどうすればいいのか。


ナースでなければ医療関係とは殆ど無縁な自分に、一体何ができるのか。


どうすれば…ゆいの痛みが和らぐのか。




 








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