はじまりのいたずら(5/5) すると、やはりマルコはすぐそこにいた。 視線に気づいたのか、マルコの方もこっちにやって来る。 「マルコ、」 「ゆいの部屋の机の上、だそうだよい。」 「お!やっと人は終わったみたいだな。」 「お前も暇人だな?」 「いや、俺はこのゆいの意味不明なゲームで今は忙しいんだ。」 「それに参加する時点で暇人なんだよい。」 そんな事は自分でもよく解っている。 だが、ゆいのことなら頭より体が先に動く。 マルコの苦笑に手を振り、ゆいの部屋へと足を進めるエース。 こんなに歩き回ったのに、ゆいがいないのは何故だろうか。 今、自分と会うことを避けて楽しんでいるゆいの顔が、容易に想像できる。 自分の脳は、ゆいに侵食されているのが実感できる。 ゆいの部屋に行き、机の上をみる。 また紙がある。 そう思えば、それは手紙の様に封がしてあった。 先程のメモ用紙が、いきなりシリアルな手紙に変わり、少しドキドキする。 何が書かれているのか。 ゆいから手紙を書くことになんて、今までなかった。 すごく不思議な気持ちで手紙を開ける。 そこには、ゆいが書いた文字が3行程並んでいた。 大好きなエースへ 世界で一番愛してます。 世界一幸せなゆいより 「あいつ…馬鹿だな、やっぱり。」 思わず笑いが込み上げた。 たった3行ぽっちの手紙が、こんなに嬉しく思えるだなんて、やっぱりゆいだ。 こんなに自分を振り回して、ゆいに怒ってやろうと思っていたエースも、この手紙を見て怒る気力がなくなる。 ただ、今はゆいを抱きしめてたい。 キスしたい。 そう思ったエースは、次はゆいを探しに行った。 continue... ← | → |