はじまりのいたずら(2/5) エースはお手紙貰うのかな? エースの弟さんから手紙は来ないのかな? エースの友達さんからは手紙は来ないのかな? 来たらやっぱりエースは嬉しいかな? 同じ船にいるのに、お手紙出すだなんて笑える。 でもこの船の人以外に知り合いなんていないし、エースしか手紙の相手が思いつかない。 でも先輩も言ってたけど、お手紙は男の子には面倒くさいものなのだろうか。 思い浮かぶ今日の出来事。 手紙を受け取った時のクルーの笑顔が、エースと重なる。 「まあエース隊長はゆいからだったら嬉しいんじゃない?」 「愛する彼女からの手紙なら、ね。素敵だわ〜、」 その言葉だけがしっかり入ったゆいの目の前には、ニヤッとした先輩ナースがこちらを見ていた。 ま、また見破られた、と言わんばかりの顔でゆいはナースに言った。 「そうですかね…? 今日、クルーの人がお手紙貰ってて…嬉しそうだったから、なんだか自分も嬉しくなってきて。わたし、手紙なんて貰った事ないのに。」 「ならエース隊長がゆいにとっての一通目でいいんじゃないの? そこは受け取り手が嫌でも嬉しくても、ゆいが書くことに意味があるんじゃないの?」 「!」 「そうよ。 いつも喋ってるけど、恥ずかしくて言いにくい事とかあるでしょ? それに文字にしたら、その言葉はずっと残るんだから。」 先輩ナースの言葉に、ゆいはハッとなる。 エースに自分の生まれて初めて書く手紙を受け取ってほしい。 それに、文字にしたら残るんだ。 その人の言葉を思い返すより、その人の文字を見た方がずっと簡単で安心できる。 喧嘩した時でも。 ただ一つ、問題が。 「で、でもお手紙って、何を書けばいいんですか?」 そもそも手紙など、遠い人が近況報告みたいな事をするためにあるんじゃないのか? 近況報告なら、エースは嫌なほど自分の事を知っているだろうし… それに毎日一緒にいるから、しょうもない事を書けば、口で言えよだなんて思われないだろうか。 「馬鹿ね、ゆいは。」 「思ったこと、そのまま書けばいいでしょ? 一番エース隊長に知っててほしいこと、とか。」 「エース隊長のこーゆーところが好きななの、わたし!とか。」 「そうそう。 ベッドでのエース隊長の声が好き、とか。」 「エース隊長のしか、わたしは一生受け付けません!とか。」 「ベッドの上でのドSさが、ゆいのドM心を擽りま…「そんなこと、書きませんからッ!///」 急に真っ赤になるゆいを笑うナース達。 昼間っから、全く何を言っているのか…っ こっちは真剣なんですよ!と言いつつも、喋り続けるナース達への否定をし続けたゆい。 ちゃんと恥ずかしそうに反応するから、ナース達が楽しくいじり続けるのも知らずに。 ← | → |