はじまりのいたずら(1/5) 今日も快晴で、ゆいの仕事はいつも通り順調に行われていた。 白ひげの部屋を掃除し終え、廊下掃除も完璧だ。 次は…、と移動しようとするゆいの耳に人の声が入る。 「はい、これ。」 「届いたか〜、サンキュー!」 見ればクルーの人が手紙らしきものを受け取っていた。 外の知り合いからだろう。 すごく嬉しそうな笑みを浮かべる、手紙を受け取ったクルー。 そんなに嬉しいのかな? 彼女さんか家族かな? なんだか知らないが、ゆいも嬉しさを貰った気分になった。 大体、手紙など貰った事のないゆいには、受け取る嬉しさなんて解りはしなかった。 でも、自分だってきっと届いたら嬉しいだろう。 ニコニコしながら次の掃除を終わらせ、医務室へと足を進める。 頭は手紙の事でいっぱいだ。 注がれる紅茶に、今日のお菓子であるサッチ特製クッキー。 いい匂いが漂う医務室のテーブルに一番最後に腰掛けたゆい。 すでに先輩ナースのトークは始まっており、出遅れたゆいは大人しくレモンティーを口にしながらクッキーを食べた。 ナースのめくる雑誌のページを、ただぼーっと見ていただけなのに、ナースはゆいに一言放った。 「嬉しそうね、 エース隊長と何かあったの?」 「え…っ!」 何でもエースの事にしたがる先輩ナースは、なぜだか知らないが普段の自分とエースの惚気を知っている。 まあ犯人は一人しかいかいが。 「…くしゅんっ」 「なんだエース、風邪かよい?」 「…いや、きっとゆいが俺の噂してんだよ。」 マルコに一発殴られたエースをゆいは知る事はない。 「…先輩ってお手紙貰ったら、嬉しいですか?」 「相手によるわね。 身内とか彼だったら嬉しいわよ。」 「そうよね〜、遠くにいる人が近くに感じる気がするのよね。」 「ほんと、女の子はみんな手紙は好きだけど、男の子って面倒くさいって言って、あんまり返してくれないのよね。」 「わかる〜、こっちは不安で夜も眠れないのに、次に会ったときはヘラって態度してたりね、」 「あ〜、腹立つわよね。 わたしなんかこの間………」 先輩ナース達の話しが盛り上がる。 色々と人生談を語るナースを頷くナース達。 今言った事と、実際になった結果は違うんだ…と苦笑する。 ← | → |